2011-05-29

こんな日を最高に無為に過ごす本を読んだ/鈴木智彦著『潜入ルポ ヤクザの修羅場』



自ら歌舞伎町のヤクザマンションと呼ばれるマンションに住み、東が面白くなくなれば西に飛び、飛田新地という売春街に住み、正に隣人として生活に入り込みながら、一線を越えない意思を貫きながらも、迷いを内包した微妙な立ち位置で取材する、リアルな著者のリアルなルポタージュ。
飾らなくても内容がすごいから、淡麗辛口、もたれません。

無為と言っておきながら、映す世界が極まり過ぎてて、本音と建前、虚実、大変勉強させて頂きました。

15年のライター生活を振り返るような内容なのでまあ幅広い。

僕の最も尊敬する雀鬼こと桜井章一氏の世界も少し垣間見るようで、ついでに阿佐田哲也氏の麻雀放浪記の誕生秘話なんかも出てくる。


正直時系列が読んでて混乱するけど、渡世を生きる博徒の話から、愚連隊の帝王、部落という現存する差別の話だとか、表側だけ見てても繋がらないような話が繋がっていく。

この間歴史を商売の視点から見つめた本を読んだけども、経済活動の裏側にはやっぱり裏社会が少なからずあって、教科書に載っている歴史と、商売史と、裏社会の歴史を全部ひっくるめたら、歴史がつまんないなんて話は無くなるな。

結論的には、逆に義務があるでも無い限り、もう世界と、特にアジアと交わっていかないと駄目だなってことを思った。

凄い皮肉だけれども、やっぱり今の日本って憧れた平和があって、清潔で平穏で、つまりボラティリティが抑えこまれてて行き過ぎたものがなくて、リスクが無いからチャンスも無くて、結果衰退していて、最も不安な状態、得たものを失う恐怖を感じている。
この大きいリスクは、また311によって大いに露呈、現実のものとなっているわけだけど、このルポ読んで、一部暴力団も今グローバル化に向かっているというところに、大いに引っかかった。
アジアに支店や支部を作っているケースが増えているらしい。
こういう組織がもう日本で食えなくなっているというのは、これはもう一つの答えじゃなかろうか。
芸術や音楽もそうなのかもしれない。
音楽はどんな段階の人間にも響くものではなくて、最も輝ける状況ってのがあるようにも思う。
単純に日本人が世界に散らばるようになっただけで演歌は売上伸ばすだろうし。
そしたら刺青なんかも見直されるかもしれないな。

ということでそこを見越して今は湿気のある音楽に舵を切っているわけであります。






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